○パーキンソン病はなぜ起こる?
私たちが体を動かそうとすると脳の「大脳皮質」から全身に運動の指令が伝わります。このときに体が思い通りに動くように、運動の調節を指令しているのが神経伝達物質のドパミンです。ドパミンは「黒質」にあるドパミン神経で作られています。パーキンソン病になるとこのドパミン神経が減少し、ドパミンが十分に作られなくなります。そうなることで過剰に運動が抑制されてしまうのです。
パーキンソン病は10万人に100人の割合で発症すると言われており、中高年に多く発症します。
○どんな症状が起こる?
安静時(静止時)振戦から発症することが多く、次いで歩行障害、筋固縮、動作緩慢などが多く見られます。安静時振戦(あんせいじしんせん)、筋固縮(きんこしゅく)、動作緩慢(どうさかんまん)、姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)を合わせてパーキンソン病の四大兆候と呼びます。体の片側から出始めて、次第に反対側に広がっていくという特徴があり、ゆっくりと進行していきます。
①手足のふるえ(安静時振戦)

なにもしないでいるときに、1秒間に4~6回程度のふるえのことを指します。精神的な緊張により、増強されることがあります。片方の手や足から始まることが多く、頭部・首・口にも見られることがあります。
頚部・体幹・四肢関節に見られ、頚部は屈曲・伸展・左右の回旋運動のいずれも抵抗感があり、全体的に運動性が低下していることが多く見られます。
②手足のこわばり(筋固縮)

筋肉のこわばりが出てきて身体が動かしにくくなります。筋緊張が亢進し、その結果、筋の収縮と弛緩のバランスが崩れていきます。鉛管様固縮(抵抗感が持続的で一様)、歯車様固縮(ガクガクと断続的な抵抗)が見られるようになります。
③動作緩慢(無動、寡動)

動作が乏しくなったり、ゆっくりになったりすることを無動といいます。無動より軽度の場合は寡動といいます。
④姿勢をうまく立て直せない(姿勢反射障害)

体の位置の変化に対して筋を収縮させてバランスをとり、姿勢を立て直す機能が障害されます。このため、首を前に突き出し、上半身が前屈みになり、膝を軽く曲げた前傾姿勢をとることが特徴です。
⑤歩行障害
無動や姿勢反射障害に伴い、歩行時に「すくみ足歩行」や「小刻み歩行」、「突進現象」が起こります。
⑥その他の症状
・便秘
・排尿障害
・起立性低血圧
・抑うつ
・認知症
・睡眠障害
○治療
抗パーキンソン病薬(L-dopa)が一般的になります。
※ wearing off現象 : L-dopaの長期間使用により、薬の作用時間が1~2時間に短縮し、次の服薬までに効果が切れ、症状の悪化が見られることをいいます。